Archive for 26 September 2003

26 September

◆176日目

ほろ酔から泥酔へと向かう課程は、実は連続ではない。極めて短い時間ではあるが、「ちょっと飲みすぎたかな?」と後悔する一瞬手前に、猛烈に頭が冴えてくる領域が存在する。しかしこの感覚を捕らえることは容易ではなく、毎日飲酒を続けていても年に2、3回あるかどうかだ。しかし、昨日はそれが来たのだ。日記を書きながら、よかいち麦(樽熟成)を飲んでいたところ、突然頭がすっきりしてきたかと思うと、後から後から言葉があふれてくるばかりでなく、バッグの変形を伴わずにストール性能を向上させるアイデアや、その理論を一瞬にして理解してしまったのだ。私の脳裏にバッグがインサイドに載ったときのベクトルや数式が泉のように湧きあがってきたかと思うと、バッグと靴の間で発生する力を動摩擦係数とバッグの弾性応力を用いた数式で示し、バッグの重量と変形のしやすさ以外の重要なパラメーターを発見した。そしてへんもバッグの蹴り易さを解明すると共に、ゲンツバッグとの意外な共通点、そして更なる改良の為の理論体系があっという間に完成した。

・・・しかしこのエクセレントでパーフェクトな理論体系を記述する力はもう残っていなかったのだ。忘れてしまった。二度と思い出すことはないだろう。いや、書こうと思ったらかけたはずだ。悔やんでも悔やみきれないのはあのおかわりだ。焼酎のおかわりをしに居間へ戻ったとき、生協の配達申し込みシートを一生懸命記入しているサイにちょっと話しかけたら止まらなくなってしまったのだ。フットバッグをしているときと同じように楽しく仕事をするにはどうしたらよいのだろう?と結婚以来何十回と繰り返してきた話題を延々と一方的にしゃべりかけて力尽きた。

そして、私は今日も酔っぱらっている。おととい買ったよかいち麦(樽熟成)はもう半分以上なくなってしまった。
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