Archive for 16 July 2004

16 July

◆471日目

昨日の夜の話である。いつも蹴っているスペースの電気が消えてしまったので、ダンサーが集まってるエリアに移動した。あまり気が進まなかったが、思いのほかダンサー達が少なかったのと、こっちの人数がかつてないほど多かった(4人)ので、思い切ってサークル蹴りをはじめたのだ。明るいし、広いし、風通しが良くて最高の場所だった。そしたら来たのだ。隣で踊ってたダンサーが。なんか思いつめたような顔して。「ここのルール知ってる?」だって。なにやらごにょごにょ言っててあんまり聞き取れなかったが、要するに気に入らなかったようだ。「ここをそういう場所にしたくない」とか言ってた。たまたま落ちてたゴミとか指差してた。”オレらは遊びじゃないんだ”ってことか。”通行人に迷惑かけないよう配慮もしてる”みたいなことか。なんだ、褒めてほしいのか。「ここのルールは知らねーけど、兄ちゃん。社会のルールは知ってるぜ。初対面の人間に話しかけるときの言い方ってもんがあるだろう。怖い顔するのは勝手だけどな、その前にその鼻毛を切ってからにした方がいいぜ」とは言っていない。こっちとしては理不尽だったんだけど、ちっとも腹は立たなかった。とにかく悲しくなってしまったのだ。彼が憐れで憐れでしょうがなくて、悲しくなってしまった。鼻毛君はちょっと顎を上げ気味にして見下ろしがちに、思いっきり目を見開いて、一生懸命迫力を演出していたが、彼の緊張が手に取るように分かった。鼻毛君を支えているのは「オレは真剣にやっているんだ」という自信だろう。思い込みというべきか。「他人に迷惑かけていないし、オレは間違ったことは言っていない」という悲しいほどの強固な彼の自己暗示が痛いほど伝わってくる。オレは「スイマセンした」とにこやかに言って、鼻毛君の話を途中で遮ったのだが、それはウザかったからではない。彼の凄まじいコンプレックスが臭くて臭くて直視できなかったのだ。そして彼自身は一生気づくことはないだろうが、その核心にあるのは強烈な自己愛だ。なんという悲しい人間なのだろうか。彼は自分の浅薄な価値観を守るため、矮小な人間性を見破られないようにするためなら平気で他人を傷つけることができるタイプだ。いや、他人が傷つくことすら想像できないんじゃないか。モラルとかルールとか、他人の善意を道具につかうヤツ。正直涙がこぼれそうになった。「バカだなあ。おまえ。いいんだよちょっとくらい迷惑かけても。ダンス好きなんだろ?楽しいんだろ?誰もオマエをバカになんかしてないぜ?」といって抱きしめたりはしていない。オレはそんな親切な男じゃない。ダンスは全くわからないけれども、少なくとも彼らのダンスはちっとも楽しそうじゃなかった。最近鼻毛君みたいなやつが増えてるような気がする。オレの方が敏感になったのか?職場とかにもいたもんな。自分のこと大好きなくせに他人の目ばっかり気にするヤツ。なんで矛盾に気付かないのか。他人の目でしか自分を見れないヤツ。奴らの気持ちになってみると息が詰まりそうになる。よくそんな生き方ができるなと。ああああ。ヤメたヤメた。考えるのやめた。キモいキモいキモい。タスケテクレーーッ。ヤツらの腐った思考が流れ込んでくるううぅぅぅぅぅ。

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